私たちは、次の大きな技術的革命の始まりを迎えています。 生成AIは、特に企業がコンテンツを管理、分析、作成し、そこから価値を引き出す方法に関して、計り知れない価値をもたらすことが可能です。 組織がAIを活用しようとする場合、導入の成功に不可欠な要素がいくつかあります。 1つ目は、最も重要なデータが保護されるように、適切なガバナンス、セキュリティ、コンプライアンスの枠組みを整備することです。 2つ目は、意味のあるアウトプットと首尾一貫したコンテンツを確実に生成するために、生成AIで使用されるテクノロジをしっかりと把握することです。 つまり、暗号化、インプットとアウトプット、保持要件、アクセス管理、管理制御などの技術的な有効化手段を理解することが必要です。
AIの導入には、責任を持って対処する必要がある独自の課題とリスクが伴いますが、 Boxでは、お客様の最も重要なビジネスコンテンツにおけるAIのセキュリティ、プライバシー、適切な利用を確保することが使命の中核です。 ここでは、大規模言語モデル (LLM) について説明するほか、Box AIが独自のデータや操作の整合性を損なうことなく正確かつ包括的な結果を提供し、Boxをご利用のお客様が信頼しているエンタープライズグレードのセキュリティを維持するために使用しているテクノロジについても知見を提供します。
Box AIについて
Box AIは、Boxのインテリジェントで安全なコンテンツプラットフォームに組み込まれた、プラットフォームに中立的な機能です。 これらの機能により、さまざまなコンテンツの種類での複数のモデル間のインテリジェントなインタラクションを通じてユーザーエクスペリエンスが強化され、データの安全性を維持しながら、インサイトを抽出し、ワークフローを自動化できるようになります。
最初にユーザーが関与するところからニーズに合った回答が返されるところまで、Box AIの包括的なワークフローを詳しく紹介します。 このプロセスは、ユーザーがBox内のドキュメントを表示する場合にも、Box NoteやBox Hubを開く場合にも発生します。
Box AIとのコンテンツインタラクションを開始する
Boxに保存されている20ページの契約書をユーザーが開く場合を例に考えてみましょう。 Box AIは、バックグラウンドでドキュメントの権限をチェックし、このコンテキストでBox AI機能が有効になっているかどうかを確認します。 この予備段階により、安全かつ承認されたインタラクションが保証されます。
Box AIを利用する
権限が確認されたら、ユーザーはBox AIアイコンをクリックしてBox AIを利用できます。 ユーザーがBox AIにアクセスして質問を送信すると、Box AIは2つ目のチェックを実行して、ユーザーのドキュメントに対する権限と、そのコンテキストでBox AI機能を使用するためのアクセス権限を再度確認します。 このダブルチェックメカニズムにより、ドキュメントインタラクション周りのセキュリティの枠組みが強化されます。
Box AIで重要なビジネスインサイトを得る
検索拡張生成 (RAG) は、AIモデルの精度向上に役立つ革新的なプロセスです。 仕組みとしては、まず、AIがユーザーの質問に関連する情報を読み取ります。 次に、質問に関連するコンテンツの詳細に焦点を当てます。 最後に、このナレッジを使用して応答を作成します。 これにより、コンテキストに沿った実在する情報が使用されるため、精度が向上し、ハルシネーションのリスクが軽減されます。
Box AIは、セキュアRAGと呼ばれるこのインテリジェントな応答メカニズムを安全かつ権限統合された方法で利用して、ドキュメントに関するユーザーの質問に回答できるようにします。
- ユーザーが20ページの契約書をプレビューで開くと、ドキュメントが読み込まれる前に、Boxは、アクセス前のセキュリティチェックとサービス有効化ステータスチェックを実行し、ユーザーがドキュメントに対する適切な権限とアクセス権限を持っていることを確認します。
- ドキュメントがプレビュー表示されたら、ユーザーは右上の [Box AI] ボタンをクリックして、質問します。
- ここで、Box AIが権限と利用資格ステータスのチェックを再度実行します。 この2番目のチェックポイントは、ユーザーがBox AIを使用できることとBox AIの機能を利用できることを確認するためのものです。
- Box AIにより、ドキュメントは、チャンクと呼ばれる管理しやすい小さなテキストに分割されます。 これはドキュメントチャンキングと呼ばれます。
- 次に、Box AIは、外部のAIプロバイダと安全に連携して、前述のテキストチャンクとユーザーの質問から埋め込みを計算します。 この計算には、Azure OpenAIのada-02など、高度な埋め込みモデルが使用されます。 埋め込みの計算の一環としてどのような処理が行われているか、このステップの詳細を見てみましょう。
a. 安全なデータ転送: 埋め込みの計算には、BoxがサポートするAIプロバイダ (使用されているAIモデルに基づいてGCPやAzureなど) のいずれかに対するエンドツーエンドで暗号化されたネットワークAPIコールが必要になります。
b. メモリ内処理: AIプロバイダは、データをログに保存したりディスクに書き込んだりすることなく、メモリ内でデータを処理するため、ドキュメントの永続的な記録は作成されません。 Boxでは、プロバイダが処理中にデータを保存しないように予防措置を講じています。 例えば、モデルプロバイダがログ記録操作を実行できないように機能を無効にしています。
c. 迅速な処理: このプロセスは、迅速に動作するよう設計されているため、通常は60秒以内に完了します。完了すると、クエリ、回答、ドキュメントのコンテキストがAIプロバイダのメモリから消去されます。
d. データ利用に関する保証: AIモデルプロバイダは、モデルのトレーニングや情報のログ記録にお客様のデータを使用することはありません。
- 埋め込みモデルプロバイダは埋め込みを返送し、その埋め込みがBoxの埋め込みインデックスに保存されます。
ステップ1~6は、ユーザーの権限を考慮した安全な方法でBoxがAIを使用するためのものであるほか、AIモデルがコンテンツを整理して、ユーザーの質問に回答する準備をするためのものでもあります。 Box AIがクエリにどのように回答するかを見てみましょう。
- Box AIは、チャンクの埋め込みと質問の間のコサイン類似度計算に基づいて、ユーザーの質問と最も関連性の高いチャンクを選択します。 このように、Box AIはクエリに関連する情報 (チャンク) を判断します。
- その後、ユーザーの元の質問とそれに関連するテキストチャンクを外部のAIプロバイダに送信し、高度なLLMモデル (AzureのOpenAIサービスやGoogleのGeminiシリーズなど) を使用して応答を生成します。 これが送信される際にどのような処理が行われているか、再度、このステップの詳細を見てみましょう。
a. 安全なデータ転送: 埋め込み処理と同様に、データは安全に暗号化され、サポート対象のプロバイダに送信されます。
b. メモリ内処理: AIプロバイダは、データをディスクやログに保存することなく、メモリ内で回答全体を生成します。
c. 迅速な応答: 通常はプロセス全体が60秒以内で完了するため、迅速かつ効率的なユーザーインタラクションが実現します。
d. トレーニングデータの保証: AIプロバイダは、モデルのトレーニングにこのデータを使用することはありません。
e. 応答の返信: 計算された回答がユーザーに返信され、ユーザーが必要とする正確な情報が提供されます。
- LLMは、プロンプトの回答を、その回答に至った経緯を示す具体的な引用情報とともに返します。
- Box AIは、コンテキストに沿った回答と引用情報をユーザーに表示します。
データのプライバシーとセキュリティ
Boxでは、データのプライバシーとセキュリティに誠実に取り組んでいます。 お客様には、Box AIとの対話を通じて以下をお約束します。
- データに関するトレーニングなし: 質問、回答、ドキュメントコンテンツはいずれも、サードパーティのLLMモデルのトレーニングには使用しません。
- ユーザー制御のログ記録: Box AIは、Boxユーザーによる明示的な指示や設定がない限り、ユーザーの質問、ドキュメントコンテンツ、または回答をテキストとしてログに記録することも保存することもありません。
- 一時的なデータ処理: ユーザーの質問、ドキュメントセクション、回答のテキストデータは、リクエストを完了するために必要な期間 (通常は60秒未満) だけBoxサーバーのメモリ内で保持されますが、ディスクに書き込まれることはありません。
- ブラウザのキャッシュ管理: ドキュメントが開かれている間、Box AIは、ユーザーのブラウザに対話履歴をキャッシュします。 このメモリキャッシュはドキュメントを閉じると消去され、未処理のデータが残らないようにします。
Box AIの利点
Box AIにより、企業は、データの安全性を確保しながら、最先端のテクノロジを活用できます。 Box AIは、複雑なドキュメントを管理しやすいチャンクに分割し、強力なAIモデルを活用してリアルタイムのクエリ応答を実現することで、トップクラスのセキュリティを維持しながらユーザーの生産性を大幅に向上させます。 このアプローチでは、安全なインテリジェントコンテンツ管理を実現するというBoxの取り組みが明確に示されています。 企業は、安全かつ直感的なAIソリューションについて自信を持ってBoxを信頼することができるため、プライバシー、セキュリティ、コンプライアンスを維持しながら、Boxのこれらのテクノロジを導入して展開することが可能です。
Box AIに関するFAQ (よく寄せられる質問) またはBox AIのページも参照してください。